秘密
そうだよね?心の中でだけ想うのは自由だよね?
美樹ちゃんにそう言われて、私は少し嬉しくなった。
胸いっぱいに想う。
私は佐野君が好き。
この気持ちは私の宝物。
佐野君が好きな私の気持ちは、決して表には出せないけど、せめて心の中でだけでも、沢山佐野君に恋をしよう。
佐野君が私の事を相手にしてくれている間、精一杯恋しよう。
考えてみれば、私の初恋だ。
初恋は実らないって言うけど、あれはホントだったんだね?
でもいいんだ。
今は佐野君が私の事を気にかけてくれている。
それだけでも嬉しい。
優しくし笑いかけてくれると、幸せな気分になる。
この気持ちを宝箱に入れて、胸の奥で大切にしまっておこう。
まだ一緒に居てもいいよね?佐野君。
バイクに乗せてね?
抱き締めてくれるよね?
沢山キスしてくれる?
いつか佐野君は私から離れていってしまうと思うけど…
その時が来るまで、宝箱に沢山佐野君を詰め込むから。
今でも宝物は佐野君がいっぱいで、箱から溢れそうで、蓋が閉まるかどうか不安なんだけど。
それでも欲張りな私は、まだまだ沢山詰め込もうとしてるの。
恋するって素敵。
想うだけでも心が暖かくなる。
佐野君を好きになってよかった。
「…うん。そうだよね。想う気持ちは自由だよね…」
私はそう言って、美樹ちゃんに笑顔を向けたら、スカートの中の携帯が震動して、取り出し開いて見た。
『弁当旨かった
またよろしく
今から少し昼寝
おやすみ』
「…佐野君からでしょ?」
美樹ちゃんが私にそう言ってきた。
「…うん。何でわかるの?」
「だって、かなちゃん凄く可愛い顔してるから」
「…可愛い?」
「うん。可愛い、今まで見た事ないようないい顔」
「……そう?」
「かなちゃんって普段は大人っぽいんだけど、佐野君の事考えてたり、話したりすると、表情豊かになるんだよ?自分では気付いてないでしょ?」
…私って普段は無表情なんだ…だから暗いと思われて、あまり他の人から、話し掛けてきてくれないのかな?
気を付けて、笑顔を心がけよう。
佐野君に負けない位の優しい笑顔で。