秘密
カフェにたどり着くと時間も頃合いなので、ランチを取る事に。
そこはオープンカフェになっていて、丸いテーブルが沢山並べられていた。
かなり込み合っているようなので開いているテーブルを探す。
「あっ、佐野君、あそこ空いてる」
奏に手を引かれ丁度中央辺りのテーブルに落ち着いた。
「何食べようか?」
隅に置いてあるメニューを開いて見る。
けど。
いきなり視界が真っ暗になってしまった。
「だ〜れだっ?」
「え?…あっ!」
奏の驚く声がして。
「かなちゃん、しぃー…」
奏の事をかなちゃんと呼ぶ男は一人しか居ない。
「…拓ちゃん…何でここに…」
「あはは♪わかった?凄い偶然♪」
視界が明るくなって振り返るとそこには拓也と美樹。
「偶然じゃないわよ、昨日かなちゃんからメールもらって、私達も行こうか?って拓也に言ったら賛成してくれて、それで来たのよ、この人込みの中、まさかホントに会えるなんて」
「そうそう、俺、給料出たばっかでリッチなんだ♪それに今日はあそこに泊まるんだぜ」
と、このパーク専用のホテルを指差す拓也。
「…ふぅん」
「何だよ、素っ気ないな…」
「ね?かなちゃん、あたし達も一緒していい?」
「うん。大歓迎、嬉しいな、こんな所で二人に会えるなんて」
拓也と美樹も加えてランチを取る事になった。
セルフサービスなので、メニューを決めてからカウンターに注文しに行く。
出来上がると番号のアナウンスが流れるので取りに行かないといけない。
番号待ちしていると奏が思い出したように。
「あ。美樹ちゃん、もしよかったらなんだけど、私と一緒にアルバイトしない?」
「え?バイト?」
「あのね、実は……」
要するに奏に美樹を誘わせて、二人の従業員を確保すると言うカケルの腹黒い計画だった。
カケルめ……
奏を餌に美樹まで釣ろうとは…
…益々食えないやつ…
「うん。いいよ」
それにあっさりと釣られる美樹。
「拓也もバイトで忙しいから最近暇だったんだ、だから丁度よかった」
「ホントに?ありがとう、美樹ちゃん」