秘密
「俺の勝ちだね?」
「……悔し〜っ」
地団駄を踏む美樹。
「てか、かなちゃん大丈夫?」
拓也が奏の顔を覗き込む。
「うん。大丈夫、直ぐに目覚ますよ」
言ってる側から。
「……う〜ん…」
「あ。…奏、起きた?」
「あれ?…佐野君?…私…ゾンビに…」
「うん。ゾンビ見て気失ってたから」
「え?!っ…わあっ!下ろして佐野君!」
「立てる?腰抜かしてたろ?」
「…そうなの?」
「うん、だから抱えて来たのに」
「え?ずっと抱えてくれてたの?」
「うん」
「もう、大丈夫だから、下ろして?」
ゆっくりと奏を下ろす。
今度はちゃんと立てるみたいだ。
よかった。
「佐野、随分早かったな?絶対美樹が勝つと思ってたのに」
「この位楽勝」
ズルしたけどね?
「ホントだわ、絶対あたしが勝つと思ってたのに…」
美樹は俺達の五分後に出てきた。
多分ジャックが居なかったら勝てなかっただろう。
……ジャック、いいやつ。
「ちょっと、のんびりし過ぎたわ、ジャック探してたから…」
……ジャック?
美樹もジャック知ってんだ。
「お前はまたそんな事言って、そんな都市伝説でたらめだって」
都市伝説?
「だって実際見た人も居るんだよ?」
俺見たよ?
「だから、居る訳無いだろ?本物のゾンビの幽霊なんて」
……本物の…幽霊?
「居るわよ、絶対に!」
…うん。居たよ、俺見たもん。
「はいはい…全く、美樹のオカルト好きにも困ったもんだ…」
「ホントに居るんだってば!」
「わかったわかった、居ます居ます、ジャックは居ます、この病棟に住み着いている悪戯好きな本物の幽霊な」
「もうっ!拓也ってば、信じてない!ホントに居るのっ!」
「……美樹…可哀想に…」
「!っ、そんな痛い子見るような目で見ないでよっ!拓也のばかぁっ!」
……信じるか信じないかは…
貴方次第です……