秘密
◇◇◇



お化け屋敷で失神しちゃうなんて…

でも、美樹ちゃんの話によると、本物の幽霊が出るって…
もう絶対にお化け屋敷なんて入らない。

…物凄く怖かった…
佐野君が居てくれてホントによかった。


「佐野君!さっきの負けを取り戻すわ!次の勝負はゴーカートよっ!」

「…だから、俺に勝とうなんて…」

「八千年足してもあたしが勝つ!」

「……その台詞、忘れんなよ?」

「…ああ…また火花が…」

…どうしたの美樹ちゃん?
佐野君と喧嘩でもしたの?

「ねぇ?拓也君、佐野君と美樹ちゃん、どうかしたの?」


ズンズンとゴーカート乗り場に向かう佐野君と美樹ちゃんの後を追いながら、拓也君に聞いてみた。


「ああ、アレね…まあ、お互い勝負好きって事かな?」

「…勝負好き?」

「うん。やたらと競いたがるの、もうほっとこう…」


競いたがる?
何でだろ?

確かに美樹ちゃんは負けず嫌いな所があるけど…
…佐野君まで?

そんな事を考えている内にゴーカート乗り場に到着。


「奏は?乗る?」

「私はいいよ、ここで待ってる」

「そっか、じゃ、行ってくる」

「うん。頑張ってね?」

「ははは、うん」


佐野君はゴーカートに乗り込むと、


「わっ、何これ?狭っ」


長身で足の長い佐野君には、小さなゴーカートは狭いみたいで乗りにくそう。


「あはは。お先に〜♪」


その横を美樹ちゃんがすり抜けた。


「あっ!待てっ。ちょっ、なんっ、狭いって…足がっ!」


小さなゴーカートの中で縮こまりながら、ようやく佐野君は走り出した。


「あはは、佐野、今度は負けなた」

「…うん。佐野君にはゴーカートは小さ過ぎるみたい…」

「あっ、かなちゃん、あっち行こう、サーキットが見渡せる」


拓也君と私はコース全体が見渡せる、少し高くなってる場所まで移動した。

見てみると美樹ちゃんは、スイスイとゴーカートを走らせていて。

佐野君はあちこちにぶつかりながら、何やら文句ばかり言っている様子。


「あ〜あ、佐野、下手くそだなぁ」


…うん。

…あまり上手くは無いね。



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