秘密


「あはは。あたしの勝ちね?これでさっきの負けは相殺よ」

「……くそぅ…」


笑う美樹ちゃんと悔しがる佐野君。


「はいはい、勝負はもうおしまい、次はゲームコーナーに行こうよ」


拓也君の提案でパーク内にあるゲームコーナーへと向かう。

ゲームコーナーは二階建てになっていて、ゲームセンターと言ってもおかしくない位の規模がある。

自動ドアを開けて中に入ると蒸し暑かった外とは一転、エアコンが利いていて汗で少しベタついていた身体が乾いていく。


「あっ、拓也、プリクラ撮ろう」


美樹ちゃんが拓也君を引っ張ってプリクラのコーナーへ行ってしまった。


…いいな、プリクラ。
私も佐野君と撮りたいな。

なんて、考えていると、


「俺達も撮る?」


佐野君の一言に。


「うん!」


大きく返事した。


機械を選んで中に入る。
硬貨を入れて画面を見ると、今さらだけど佐野君との身長差に驚いた。


…大人と子供…


「はは、俺、頭切れんじゃん…」

「佐野君、少し屈んで?」

「こう?」

「何かバランスが悪いな…」

「だったら…よっ…」

「え?…わあっ」


佐野君は私を横に抱えてしまった。


「これならバランスいいだろ?」


画面を見てみると、確かにバランスはいい。

でも。

……抱っこって…


「…下ろして佐野君、これじゃ画面の操作が出来ない…」

「え?操作って?勝手に撮るんじゃ無いの、証明写真みたいに」

「色々フレーム代えたり出来るんだよ?」

「へぇ…俺やった事無いから」

「佐野君、プリクラ撮った事無いの?」

「うん。変か?」


佐野君は色んな女の子といっぱい撮ってると思ってたから、正直驚いた。

だけど私とが初めてなんて。
ちょっと……いや、かなり嬉しいな。


「ううん、変じゃないよ?先ずはフレーム選ぼうか?」


プリクラの明るいアナウンスにそって操作していく。


佐野君は少し屈んで。
私は少し背伸びして。


『じゃ、写すよ〜?』


機械がそう言うと、


佐野君は私にキスをくれた。





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