秘密


「わあ…綺麗だね…」


パーク内中央にある広場を、沢山の電飾が施されたオープンカーや、馬車等が行進していて。

キャラクター達や、アトラクションの登場人物、何故かお化け屋敷のモンスターやゾンビまでもがパレードしていて。

踊りながら進むゾンビは時々人を驚かせたり、本格的なダンスまでしているミイラも居た。

「あはは、ああやって見てみるとあんまり怖くないね?」

と、ミイラを呼び指しながら笑う。

「中身は人だって割り切ったら全然恐く無いぞ?」

「うん。でも、やっぱり怖いな」

「まあ、怖がってもらわないと商売になんないからな」

「それにしても人が多いね?」

背伸びをして必死にパレードを見ている奏。

俺は他のやつより頭ひとつ分出てるからよく見渡せるけど、これだけの人込みの中にいるとよく見えないだろうな?

「…奏、肩車してやろうか?」

そう言うと奏は、

「えっ?…いいよっ!」

あっさり断られた。

そんなに力一杯拒否しなくても…

「もう少し前に行こうか?」

「うん」

奏の手を引いて人込みを掻き分けながら、前へと移動する。

長身の俺は人の隙間がよく見えるから、その間を縫って、最前列まで移動した。

目の前にはお化け屋敷の行進がやって来て、奏が身を固くして俺の横にぴったりと寄り添う。

…グッジョブ、お化け。

そんな奏の肩を抱いて、お化け共を見ていると、その中にジャックの姿を発見してしまい。


…あ、ジャック…


俺の心の声が聞こえたのか、ジャックはこちらに近付いてきて。

奏は怖がり俺の胸に顔埋めてギュッと目を閉じていた。

「…今日はホントにすみませんでした…」

普通に話しかけて来やがった。

美樹の言う都市伝説はやっぱでたらめだったんだな。

怖がる奏の頭を撫でながら。

「別にいいよ、お陰で勝負に勝てたし」

「…また来て下さいね?次は必ず…怖がらせてみせます…」

そう言うとジャックは微かに笑い、スウッと影が薄くなり、透き通り、消えて無くなってしまった。

…………は?

回りをキョロキョロと見てみるけど、他には見えていなかったみたいで…


……マジ?


……ははは…


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