秘密


静さんは佐野君が私から離れてアメリカに行く事を不安がってるって思ってるんだ…


私達が普通の恋人同士だっとしたら、私はそんな事思ったりしない。


寂しくはなるけど、喜んで送り出してあげる。


佐野君が大好きだから。
何年だって帰りを待ってる。


もし待てなかったら私もアメリカにだって、何処にだって会いに行く。


それが出来ないから、こんなにも胸が張り裂けそうな位不安になる。


何も考えず、何もかも捨てて佐野君の胸に飛び込む事は出来ないから。


出来る事ならそうしたい。


でも、それは私だけじゃなく、うちの家庭までも犠牲にしないといかなくなる。


仕事が上手くいって、昇進して、恋人まで出来たお父さん…


もしまたお父さんに仕事が無くなれば、私達親子は生活することさえ厳しくなる。


それを全て捨ててしまうのは、余りにもまだ私が子供過ぎて、出来そうにない……


「……はい…」


私はそう言う事しか出来なかった。


佐野君の気持ち。


わかってる。


佐野君が私を好きだって事。


わかっててその気持ちを利用してる……


佐野君にお弁当を作ってあげるのも。


シロを二人で飼う事にしたのも。


佐野君に…抱かれた事も……


全部佐野君を私に繋ぎ止める為。


翔ぶ事が出来る佐野君の翼に必死にしがみついて、翔べないようにしているのは私。


私は佐野君の足かせでしかない…


佐野君が私をもっと好きになればいい。


こんな事を考えいる私。


醜い私。


もう…

自分でさえ抑えが利かなくなってる…


私は今まで異性を好きになった事が無かった。

緊張もドキドキも始めはそれだと気付かなかった。

だから、いちばん最初は平気でキスも出来た。

佑樹にそうやっていたように。


佑樹の言いなりだった私が初めて自分から行動した浮気と言う行為。


始めは単純に好奇心だった。


…それが今ではこんなにも佐野君をの事を好きになってしまった…


佐野君。


貴方の事を好きになってしまって……


……ごめんね…



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