秘密



「あはは。マジか?5分で来やがった!」


カケルさんがテーブルに着いて、すでにケーキを食べ始めていて。


隣の席には美樹ちゃんも。


「さすがね佐野君、かなちゃんが絡むと、ふふふ…」


美樹ちゃんはチェリーパイにフォークを突き刺していた。


「…奏ちゃん?その人…彼氏?」


翼君が佐野君を繁々と見つめていて。


「翼君…あの、佐野君は…」

「……翼…君?…」


佐野君がボソリと低く呟いて、やっと身体を離してくれた。


「…あんた誰?」


翼君を睨む佐野君。


「え?…俺?…俺はここの従業員だけど?お前こそ誰だよ?」

「…佐野茜…奏になんかした?…」


翼君ににじり寄る佐野君。


「は?何だよお前?…オーナ〜、こいつ怖いよ」


翼君は佐野君を指差し、カケルさんに助けを求めている様子。


佐野君は私が翼君に何かされたと誤解してるんだ。


「あの、佐野君?何か勘違いしてない?」

「え?…だってピンチだったんだろ?」

「あはは、違うわよ佐野君、ああ言えば飛んで来ると思ったのよ」

美樹ちゃんがチェリーパイを頬張りながらそう言うと。


「…は?」


キョトンとする佐野君に美樹ちゃんが。


「ね?佐野君?週一でもいいからさ?ここでバイトしない?」

「…それ言うためにわざわざあんな言い方して呼び出したの?」

「うん。そうだよ?」


佐野君はガクッと肩を落とす。


「俺…滅茶苦茶焦って…ブッ飛ばして来たんだぞ?美樹ちゃん…」

「ね?やろうよ?佐野君?」


美樹ちゃん…
佐野君の話も聞いてあげなよ…


「ね?茜?やってくれよ?」


カケルさんまで同じように佐野君に言ってきた。


「……やらねぇよ」

「あら?ホントにいいの?あたし達の制服これだって」


すると美樹ちゃんは黒いミニのフレアスカートのワンピースに白いレースが沢山付いたエプロンがセットになっている。


いわゆるメイド服を広げて見せた。


え?


制服ってあれなの?



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