秘密
◇第12話◇
◆◆◆
「…げ…何あの行列…」
エレベーターから降りるなり拓也が呟いた。
その理由は、溢れんばかりの人、人、人……
駅前ビル。
オープン当日。
平日にもかかわらずこの賑わい。
テナント全店オープニング記念セールをやってるからそれも頷けるけど、でもここは最上階の飲食街だぞ?
これだけの人が集まるって…
エレベーターを降りて直ぐ右手にある【honeyfactory】の前にはかなりの行列が出来てしまっていた。
奏の話によると全品半額セールと言う、信じられないオープニング企画をやるらしい。
奏と美樹は学校が終ると、慌てて教室から居なくなってしまった。
俺と拓也は一旦自宅に戻り、直ぐにバイトに行けるように着替えて、拓也をバイクで迎えに行ってからここまでやって来た。
「どうする?佐野?今日は諦めて他の日にする?」
……奏のメイドは捨てがたい。
だけどこれだけ人が並んでたら、いつ店内に入れるかわからない。
俺も拓也もバイトに行かないといけないし…
仕方ない…
今日は諦めるか。
「うん。別の日にしよ、今日は無理だ」
踵を返しエレベーターの降下ボタンを押して、エレベーターが上ってくるのを待つ。
…13…14…15…
ピン、と音がして扉が開き、目の前に飛び込んできたのは、大量の白いバラ。
「あら。茜くんと拓也くんじゃない」
「アスカちゃん…」
「アスカさん…」
同時に応える俺達にアスカはエレベーターから降りると。
「カケルの店に来たの?」
「うん。そのつもりだったんだけど…あれ…」
店の入口から続く行列を指差し。
「別の日にしようかって帰る所だったんです…」
拓也がそう答えた。
「何言ってんのよ?せっかくオープニングのお祝いに来てやったんだから、帰るなんて言わないの。カケルも待ってるわよ?顔だけでも出さなくちゃ、ほら、行くわよ?あ。拓也くん、これ持ってて」
アスカはバラの花束を拓也に押し付けて、カツカツとヒールを鳴らして人混みをかき分けていく。
「…げ…何あの行列…」
エレベーターから降りるなり拓也が呟いた。
その理由は、溢れんばかりの人、人、人……
駅前ビル。
オープン当日。
平日にもかかわらずこの賑わい。
テナント全店オープニング記念セールをやってるからそれも頷けるけど、でもここは最上階の飲食街だぞ?
これだけの人が集まるって…
エレベーターを降りて直ぐ右手にある【honeyfactory】の前にはかなりの行列が出来てしまっていた。
奏の話によると全品半額セールと言う、信じられないオープニング企画をやるらしい。
奏と美樹は学校が終ると、慌てて教室から居なくなってしまった。
俺と拓也は一旦自宅に戻り、直ぐにバイトに行けるように着替えて、拓也をバイクで迎えに行ってからここまでやって来た。
「どうする?佐野?今日は諦めて他の日にする?」
……奏のメイドは捨てがたい。
だけどこれだけ人が並んでたら、いつ店内に入れるかわからない。
俺も拓也もバイトに行かないといけないし…
仕方ない…
今日は諦めるか。
「うん。別の日にしよ、今日は無理だ」
踵を返しエレベーターの降下ボタンを押して、エレベーターが上ってくるのを待つ。
…13…14…15…
ピン、と音がして扉が開き、目の前に飛び込んできたのは、大量の白いバラ。
「あら。茜くんと拓也くんじゃない」
「アスカちゃん…」
「アスカさん…」
同時に応える俺達にアスカはエレベーターから降りると。
「カケルの店に来たの?」
「うん。そのつもりだったんだけど…あれ…」
店の入口から続く行列を指差し。
「別の日にしようかって帰る所だったんです…」
拓也がそう答えた。
「何言ってんのよ?せっかくオープニングのお祝いに来てやったんだから、帰るなんて言わないの。カケルも待ってるわよ?顔だけでも出さなくちゃ、ほら、行くわよ?あ。拓也くん、これ持ってて」
アスカはバラの花束を拓也に押し付けて、カツカツとヒールを鳴らして人混みをかき分けていく。