秘密
「こう言う所にはね?ちゃんと従業員とか業者用の裏口があるのよ…と、ほら、あった」
アスカの後に着いて人混みとは別の方向に足を進めて行くと、従業員以外立ち入り禁止、と書かれている札が着いたドアがあって、その中に入ると、バックヤードになっているらしく、大量の段ボールや大型冷蔵庫等がうねりをあげて、ムッとする空気に包まれていた。
各店舗の裏口に通じているらしく、あちこちの店舗から怒鳴り声や叫び声か聞こえてきて、その忙しさを物語っていた。
「カケルの店は、こっからだと…いちばん奥ね」
アスカは臆する事無くカツカツと先を進んで、他の店舗の従業員も忙しさの為か、誰も俺達の事を気にしていない様子。
先を進んで行くと奥の方にキャプテンの姿を発見。
「キャプテン!」
声をかけるとキャプテンは俺達を見て。
「キャプテンじゃねぇ!って、お前どっから来てんだよ?」
呆れたように俺達を見るとキャプテンは店舗に向かって。
「オーナー!デカいのが来たよ!」
デカいのって…俺か?
カケルが裏口から姿を現せて笑顔で俺達に近付いてくる。
「いらっしゃい。アスカちゃん、茜も拓ちゃんも」
も、って…俺達はついでかよ…
アスカは花束を拓也から受け取り、それをカケルに渡すと。
「開店おめでとう」
「え?マジ?スゲー嬉しい♪ありがと、アスカちゃん」
花束を受け取ると照れたように頭をかく。
「ごめん、カケルさん、俺達何も用意してないや」
「あはは、お前ら子供ががそんな事気にすんな、来てくれただけでも嬉しいよ…テーブルひとつ空けてるから、中に入って?今日は何でもオゴるから」
…マジすか?
拓也にどれだけたかられるか不安だったんだから、正直助かる。
給料前だし、先月は遊園地に父の日と出費が重なって若干ピンチだった俺。
カケル様…いつもありがとうございます。
何だかんだ言ってもカケルには金銭的に助けてもらう事が多いな…
俺も何かお祝いしてやらないと…
……その内に…