秘密
手を繋ぐよりもっと凄いことした事あるのに、何でこんなに緊張してしまうんだろう?
私ってどこかおかしいのかも…
佐野君はスタスタと歩いていき、私は少し前屈みになり、歩くのが早い佐野君に引っ張られてる。
佐野君。
私服。
ジーンズに皮ジャン。
よく似合ってる。
何だか制服来てる時より、少し大人っぽい。
やっぱり、背、高いな。
私が157センチだから、180以上はあるよね?
佐野君はコンビニの狭い駐車スペースに置いてある、白に青のラインが入ったバイクからヘルメットを2個取ると、赤い方のヘルメットを私に差し出した。
「はい。奏」
え?
ヘルメット?
バイク?
「…佐野君…バイク」
「あれ?…メールで言ってなかったっけ?」
………聞いてないよー!
「…メールでは服装の事しか言ってなかった…」
「あれ?そうだっけ?わり」
佐野君バイクに乗るんだ…
「…佐野君…暴走族?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「…はあ?な訳ないじゃん、もしかして奏、バイク乗ってる奴みんな暴走族だと思ってる?」
「…え?違うの?」
「じゃあさ、オッサンがバイク乗ってても暴走族か?ははは」
確かにそうかも…
私って…ホントにバカだ。
恥ずかしい…
佐野君は私の帽子を取ると、スポッとヘルメットを被らせベルトをしめてくれた。
「さ。乗って」
乗ってって言われても…
乗った事ないし…
私が固まっていると、佐野君が私をヒョイと抱えた。
「わぁっ!」
びっくりして声が出た。
「足はここに乗せて」
佐野君は私をバイクの後ろのシートに座らせると、自分も前に股がった。
前から私の両腕を掴むと、自分の身体に巻き付けた。
私は後ろから佐野君を抱き締める形になる。
……うわ…密着…
佐野君もヘルメットを被り頭だけ振り返る。
「曲がる時やカーブん時は俺に身体ごと預けるようにして、じゃ、行くから」
そう言ってエンジンをかける。
「えぇっ!?私バイクなんて乗った事ないよ!」
「ははは。大丈夫、大丈夫」