秘密



料理が運ばれて来ると、佐野君はホントに全部ペロリと平らげた。

……凄。

気持ちいい位食べるなあ。
しかも早い。

私まだ全部食べてないよ。

「飲み物とってくる、奏は?」

「え?じゃあ、アイスティー」

「了解」

言うと佐野君は立ち上がり、ドリンクバーへと向かう。

通りすがりのウエイトレスの女の子や他の女性客。
チラチラと佐野君を見てる。

金髪で背が高いから目立つんだけど、佐野君はやっぱりカッコいい。

女の子の扱いも慣れてるし…

私と浮気してるって佐野君は思ってないかも知れない。

彼女は居るけど、私は佐野君の沢山の女友達の中の1人かもしれない。


キスはしたけど…


佐野君にとってキスなんて大した事ないのかも。


…でも…私にとっては…


「奏?疲れた?」


佐野君がアイスティーを私の前に置き、うつ向き考え事をしていた私に聞いてきた。


「え?ううん、疲れてないよ?これ飲んだら出ようか?」

アイスティーを手に取り、私は笑って見せた。

「だな?あと30分位で着くから」

「うん」


飲み終えて二人でレジへと向かう。

佐野君は伝票をレジに置き、ベルトにチェーンで繋がれた、財布をジーンズの後ろポケットから取り出してお金を出した。

私もバックから財布を出す。

すると佐野君は私から財布を取り上げた。

「俺のオゴリ」

「えっ?いいよ、払うよ」

「いいから」

「…でも」

「じゃあさ、次出掛ける時は奏がオゴッてよ?」


笑うと佐野君は私の手に財布を戻した。


……え?…次?


佐野君。

また私と一緒に出掛けてくれるの?

ホントに?

……嬉しい。


「うん。次は私がオゴるね」

「はは。よろしく」


会計を済ませて外に出ると、また佐野君は私をバイクの後ろに乗せてくれて、ヘルメットも被せてくれた。


「…ありがとう」


佐野君もヘルメットを被り、再びバイクに股がると、エンジンをかける。


私は佐野君を後ろから抱き締める。


佐野君がアクセルを回し、バイクは走り出した。



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