秘密
翌日。
アルバイトが終わるとその足で、お店のケーキと駅前ビル内のペットグッズのショップから、猫用のお菓子も買って、昨日の夜にお邪魔した岩澤さんのお宅へと向かっていた。
お家にたどり着くと、塀の向こうで花壇の手入れをしているおばあちゃんの姿を見つけて。
「おばあちゃん」
声をかけるとおばあちゃんは顔を上げて。
「まあ、本当に来てくれた、嬉しいわ、こっちに回って来て」
「はい、お邪魔します」
玄関の門を開けおばあちゃんが居るお庭に行くと、綺麗に手入れされた色とりどりの花が植えてあり、私は感激してしまって。
「わあ、凄い…綺麗…」
「そう?ありがとう、暇だから、庭いじりばっかりやってるだけよ」
ふふふ、と笑うおばあちゃんはとても上品で可愛くて、私にもそれが伝線してしまったみたいに口元が綻んでしまう。
可愛らしいおばあちゃんだなぁ。
「あの、これお土産です、私がアルバイトしているお店のケーキなんです」
「まあ、ありがとう、早速お茶にしましょう、暑くて喉が乾いたわ、ここから上がって?あ。シロちゃんも丁度遊びに来てるのよ」
おばあちゃんは縁側からお家の中に入り、私はその後に着いてリビングへと通された。
リビングはエアコンが効いていて、身体からすうっと汗が引いていく。
リビングのソファーを見てみると、シロともう一匹、真っ白い猫ちゃんが身体を寄せ合って眠っていた。
この子がハルちゃんかな?
シロと正反対で真っ白。
ふふふ。可愛い。
おばあちゃんはリビングを抜けてキッチンへ。
私もおばあちゃんと一緒にお茶を入れ、ケーキをお皿に乗せて、再びリビングへと戻り、おばあちゃんと向かい合わせて、二匹を起こさないように、ソファーに腰を下ろした。
「美味しそうなケーキね?こんなに可愛らしいお嬢さんと一緒にお茶出来るなんて、おばあちゃん嬉しいわ」
「このケーキ凄く美味しいですよ?お店の一番人気なんです」
ケーキを食べながら、おばあちゃんとお喋りしているととても楽しくて、昨日初めておばあちゃんと会ったばかりなのに、私はおばあちゃんの事が大好きになってしまった。