秘密
「……美樹ちゃん、どう言う事?」
すると美樹はバツが悪そうな顔をして。
「内職?みたいな?あはは…」
「内職?俺の写真売って?」
「う…、わかったわよ、売り上げの三割は佐野君にあげるから」
いやいやいや。
そう言う問題じゃなくてね?
「君達、そんな所に溜まってたら邪魔だろ?何やってるの?喧嘩?」
その声に階段の下を見てみると、奏の隣に立つ佑樹。
「佑樹君…、何でもないよ?ほらみんな邪魔だって」
美樹のその一言に今度こそ女の子達は、それぞれに教室へと向かって行った。
「じゃあね、佐野君。かなちゃんおはよう。また放課後ね?」
美樹は奏に手を振り階段を上がっていった。
「俺等も行こうぜ、茜」
貴司に促され俺も教室へと向かいながら、目線だけ佑樹の方に向けるとヤツも俺の方を見ていて、一瞬目があったけど、俺はフイッと視線を反らした。
わかってるんだけど、やっぱり佑樹と奏の並んだ姿を見るのは、ちょっと辛い。
何年かかってもいいとか思っているけど。
正直。時々不安になったりする時もある。
そんな事を考える事自体がまだ俺がガキな証拠。
もっと大きくならないと。
身長じゃないよ?
コレ以上身長が伸びたりしたら色々と不便だし、洋服とか。
男としてデカくなりたいって事。
奏の不安や心配事を、丸ごと包み込んでやれるように。
俺。
頑張るから。
そしたら奏は安心してずっと俺の側に居てくれるだろ?