魔憑攻殼戦記 深紅の刃
「訓練校の同級生のよしみで手を抜いてもらえるって訳には行かないわよね」

「訓練校での決着を今付けてくれる」

「インジェン、姫良鬼凛とはあの鬼姫《おにひめ》のことか」

 開封士のハイロウが念話で割り込んでくる。

「そうだ、深紅の刃、鬼姫だ」

「ならば、納得が行く。
迷彩結界の利く第一段階からいきなり第三段階に開封するなどという芸当は、奴なら出来る」

「ああ、そうだ。
訓練校でもやられたことがある。
鬼姫のそばには、必ず奴がいた」

「蒼き狼」

「俺も随分有名なんだな」

 狼藍の念話が飛び込んでくる。

 同時に、凛は太刀をひねり上げ、空いた胴を薙ぎ払った。

「おっと」

 インジェンは、魔憑攻殻を瞬時に後退させ、斬撃を躱した。

「さすが最新型、逃げるのは速いわね」

「昔から手癖が悪いぜ、鬼姫」

 凛は太刀を構え直して共感されないよう気にしながら、狼藍に指示した。

「狼藍、次で決めるよ」

「了解、今ので解析が終了した。
パワー調整はこちらに任せてくれ、タイミングはそっちに任せる」

「上等っ!」

 鎧武者型の魔憑攻殻が、深紅の太刀を青眼に構える。
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