魔憑攻殼戦記 深紅の刃
「僕達は傭兵だ。
そしてここは戦場……正規軍と戦う以上、知り合いと戦うのは避けられないぞ」

「ああ、それは判ってるつもりなんだ。
つもりなんだけど……」

「凛、迷いがあるなら君は戻れ、何も僕に付き合う必要はないんだ」

「そんな迷いなど私には無い!
それに……それに戻るところなんて私にはもう無いんだ」

 凛は、強い意志を込めて、キッと狼藍を睨んだ。

 誇り高いその顔に、狼藍は、彼女が何を捨て何を選んだのかを改めて確認した。

「そう、だったな、君はやっぱり鬼姫だよ」

「……それって褒め言葉?」

「僕が君に対しての最大級の褒め言葉さ」

「そういう事にしておくわ」

 凛の顔にいつもの不敵な笑みが戻った。

「さあ、戻ろう、僕達のいる場所へ」

「そうしよう」

 凛は、狼藍に手伝ってもらいながら装備を付けた。

 狼藍がハッチを閉め、第一段階詠唱を開始すると、鎧武者型の魔憑攻殻は、憑依した魔によって動き出した。
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