魔憑攻殼戦記 深紅の刃
 狼藍が開発した開封呪文は、わずか一小節の間ではあるが、三段階目の次の封印を解く。

 狼藍が言うには、四段階目ではなく、開封度からすると三・一度程度なのだそうだ。

 もしも、この魔が解放されたらどうなってしまうのか、凛には想像がつかなかった。

「出来れば、回収したいね」

 わずかな木洩れ日で黒光りする封魔球を見つめながら、凛は言った。

「確かに欲しいけど、今の僕らの資金や設備じゃ魔憑攻殻を作り上げるのは無理だ。
それに……」

「剥き出しの封魔球は、軍に感知されるか」

「うん。
ここもそろそろ発見されるだろう」

「ほんと、封魔球は厄介だねぇ」

「離脱しよう」

「了解」

 凛は、攻殻の向きを変え、森の奥へ歩き出した。
< 22 / 24 >

この作品をシェア

pagetop