魔憑攻殼戦記 深紅の刃
 魔憑攻殼が実用化されて約三百年。

 あらゆる勢力が魔憑攻殼を研究し、開発し、その長所も短所も明らかにされている。

 それでも、魔憑攻殼には有効的な対抗手段が少ない。

 最も有効的な手段は魔憑攻殼を用いることだ。

 魔憑攻殼は、封魔球を中心に用途に合わせて組み上げられた巨大な鎧である。

 駆動原理は単純、封魔球に封じられている魔の封印を段階的に解き、機体に憑依させてその魔をコントロールすることによって操作するのである。

 そのために魔憑攻殼には、開封士が必ず付く。

 開封士の唱える呪によって、封魔球に掛けられた封印を段階的に調節するのである。

 開封された魔は、機体とその呪的中心にいる魔操士に憑依する。

 魔操士は、憑依してきた魔を逆に自分の制御下に置き、魔を介して機体を制御する。

 つまり、絶えず魔操士は、心の中でおのれの支配を賭けて魔と戦い続けなければならない。

 そして、開封士は、魔操士が支配されないよう絶えず呪を唱え、封印を調節していなければならなかった。

 魔憑攻殼は、その絶対的な力を魔に頼っているだけに、乗り手の精神に多大な負担を掛ける兵器なのである。
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