赤い狼 弐
…ムッカーーーー!
「…っな!馬鹿って何よー!人の事、馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ!?馬鹿拓磨!」
少し息を切らしながら拓磨の方を見る。
「はいはい。馬鹿拓磨で結構ですよ。
それより稚春、お前早く隼人の所に戻った方がぃぃぞ。」
またもや拓磨は呆れたというような目線を私に送る。
うぅっ!だから、それ何気に傷付くんだってば!
「何でってお前…」
――ゾクッ――
拓磨が何か言おうとした途端、とてつもない殺気を感じた。
拓磨の言いたい事が分かった。
…だって、この殺気…。
私の予想だと多分…
「………隼人…。」