赤い狼 弐
隼人は私の真後ろに立って、今にも誰かを殺してしまいそうなオーラを放っていた。
「…っ。」
見た事の無い隼人に体がすくんで声が出ない。
ゆっくりと隼人が私に近付いてくる。
「ご、ごめんなさい…。」
近付いてくる隼人に少し恐怖を覚えて出ない声を無理やり、絞り出して謝る。
でも、隼人は何も言わず、私に近付いてくる足を止めようとはしない。
そして、隼人は私の目の前に来て、足を止めた。
怖くて、目を瞑る。
「おい。稚「稚春を苛めんでくれへん?」」
隼人の声を誰かが遮った。
この声は、龍…。
後ろを振り向くと、龍が
「大丈夫やから…。」
と耳元で言って私を後ろから抱き締めてきた。