赤い狼 弐
「ん?あぁ~これは、俺がまだ合図してへんから。だから進んでへんのよ~。」
合図?
何、合図って。
と首を傾げていると龍が私に話す時とは違うワントーン低い声で
「じゃ、來訝(らいが)、出してくれ。」
と運転手さんに言った。
へぇ。
運転手さん、來訝って言うんだぁ。
と運転手さんを見ると…
なんか優しそうなお兄さんだった。
っていうかお兄ちゃんってかんじ。
…今度から來訝お兄ちゃんだな。
…呼び名、決定。
塚…
合図ってコレかいっ!
出してくれ。じゃん。
…そんなものは合図って言わないと思うんだけど…。
うん。でもまぁ…來訝お兄ちゃんが
「はい、分かりました。」
って言ってたからいっか。
なぁ~んて思いながら車に身を任せた。