赤い狼 弐
隼人はそのままの低いトーンで俺にそう言い、電話を切った。
機械音がする携帯を見つめる。
…俺が早く稚春を迎えに行っていれば…。
「くそっ!」
――ガシャンッ――
壁に投げつけた携帯がバラバラになる。
ホームルームなんて真面目に出なくて脱け出してくりゃぁ良かった。
でも、今更後悔しても遅い。
俺は拳を強く握る。
今は、自分を責めるよりも稚春の無事を願う事の方が最優先だ。
「稚春…――
無事で居てくれ。」
稚春が無事で居る事を願いながら《SINE》へとバイクを走らせた。
連side~end~