赤い狼 弐
「何~?今、ぃぃ処だったのに~。」
香が少し頬を膨らませて怒るけど、それを無視して実は
「…何か忘れてない?」
と一人でブツブツと呟く。
…実、香の話も聞いてあげようよ。
可哀想に…と香の方をチラッと見ると、少しはぶてた感じで体育座りをしていた。
…可愛ぃ。
香を見て幸せな気持ちに浸っていると、実が
「思い出したぁーーーー!」
と突然叫んで後ろから私の肩を掴んだ。
――ビクッ――
突然、叫ばれて肩を掴まれたので体が勝手に反応した。
「何を思い出したの?」
後ろに振り向きながら実に質問する。