赤い狼 弐
「前、俺が
「稚春ちゃんの誕生日いつだ?」
って聞いた時、
「10月10日だよ。」
って答えてくれたじゃねぇか。」
あー。
そういえば、そうだったかも。
「もしかして…この為に…?」
「そぅだよ!だって、稚春に喜んでもらいたかったんだ!」
奏が楽しそうに笑いながら、こっちに寄ってくる。
…何で…?
「何で…?こんな事するのぉ?」
ヤバい。絶対、このままじゃ泣く。
「え…。迷惑だった?稚春。」
棗が眉毛を下げて見つめてくる。
「違っ、嬉しいよ…っ。何で、私なんかにここまでするのっ。」
そう言った後、頬に何かが伝った。
その正体が涙だと分かった時は遅かった。
止めようとしても、涙が止まらない。