赤い狼 弐






――パンッ、パンッ、パパンッ――






「「「「「おめでとうごさいます!」」」」」






目の前に現れた稚春はまだ状況が分かっていないらしく、目を見開いたまま固まっている。





…うん。



そんな稚春の顔も、嫌いじゃない。





…なんて思っていると…




何故か稚春は泣き出してしまった。




当然、笑って喜んでくれると思っていた俺等にとっては予想外だった反応をされて戸惑う。




何処も痛くは無いし、この誕生日会自体は嫌では無かったらしい。





…じゃぁ、何でそんなに泣いてるんだ…?



原因は何なんだ…。





考えていると稚春が礼を俺等に泣きながら言った。




その一言で俺は何だか幸せな気持ちになった。






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