赤い狼 弐
…え。
名前と歳ぐらいしか出てこない…?
…そこまでして、私の事を隠したいのか。"あの人逹"は。
まぁ、それもそうか。
"要らないモノ"だもんね、私。
「ハハハッ。」
何故だか、凄く悲しい筈なのに、泣きたい筈なのに、笑いが出た。
「…稚春?どうしたの?」
棗が心配そうに私の顔を覗く。
…あぁ。どうしよう。
笑いが止まらない。
「ハハハハハッ。」
その場に立ち上がり、ドアを開ける。
「ち、稚春?」
棗も焦ってその場に立ち上がり、私の後を追ってくる。