赤い狼 弐
「そりゃそうだよ。だって、"あの人逹"は"私"という存在を隠すのに必死だもん。」
「"あの人逹"…?」
棗は眉間に皺を寄せて私の横を歩く。
「うん。最低な人達。私、"あの人達"の事、殺してしまいたいぐらい憎んでるの。」
棗を横目でチラッと見ながらフッと笑う。
「…殺したい程、憎い?」
棗は、まだ眉間に皺を寄せている。
「…軽蔑した?私の事。まぁ…それならそれで…ぃぃんだけどね。」
そう言って棗から目線を外し、一階へと続く階段を降りようと足を進める。
すると…
「「そんな事‥ねぇよ。」」
棗と誰かの声が混ざった声が聞こえたかと思ったら前から伸びてきた手に私の腕が掴まれた。