赤い狼 弐
「すすすす、すまみせんっ!痛かったですかっ!?痛かったですよね!そうですよね!すいません!
謝罪として何か一発芸でもやりましょうかっ!?いやそれが駄目なら他のにしますけど…何にしますかっ!?」
「うん、まぁ取り敢えず落ち着こうか、稚春。」
そうですよね。
「…本当すいません。曲者かと思っちゃって。」
「ぃぃ。それに、さっきも曲者って言ってたからな。何気に傷付いた。」
「あぁっ!すいません!」
頭を下げて謝ると朋さんはクスクスと可笑しそうに笑って
ぃぃ。謝ってくれたし。
と優しく笑った。
それを見た瞬間、両手で目を隠す。勿論、朋さんと目を合わせない為に。
「おい。どうした、何か嫌なもんでもあんのか。」
「いや、朋さんと目を合わせないようにしているだけです。」
せっかく目を覆い隠しているのに朋さんは
その手、外せ。
と力を入れて外させようとしてくる。
それに負けじと、踏ん張って手に力を入れる。
「外せよ。」
「嫌です。」
「何でだよ。」
「死んでも嫌です。」
「答えになってねぇよ。」
そんな言い合いをしている時だった。
「何してんだ。稚春。…と、馬鹿弘さん。」
救世主が来たのは。