赤い狼 弐
それにしても、何で他に誰も居ないんだろうか。
疑問だ。
もう一度、私達以外に人が居ないか辺りを見渡す。
やっぱり、居ない。
「どうした、稚春!キョロキョロしてたら鳥になってしまうで!」
ならねぇよ。
そんなので鶏になってたら、今頃人類滅亡してるよ。
「いや、私達以外に人が居ないなと思って。」
「あぁ。そりゃそうや。だって貸し切りにしたから当たり前や。」
何だと。
「冗談キツいよ。」
「冗談やあらへんって。ちゃんと貸し切ったで。」
またまたぁ~。と龍の肩を叩く私に龍は、ほれ。と紙を見せてきた。
………………
どうやら、本当だったようだ。
龍が見せてきた紙には、
"ピランルト・タウンを本日、貸し切る。"
と書かれている横に、印鑑が押してあった。
…世の中、そんな事ができるのか。
恐ろしい。
龍が何者なのか気になったけど、聞いたら煩そうなので聞かなかった。
いや、聞きたくなかったが正しいかもだけど。