赤い狼 弐






そう言って朋さんの横顔に視線を向けると朋さんは



「良かったな、アイツ等も楽しそうだったぞ。久し振りに見たなぁ。アイツ等がはしゃいでる処。」



懐かしそうに目を細めて笑った。




「そうなんですか?いつもあんな感じですけど。拓磨以外は。」



あれ、はしゃいでたのか。



動物園状態だった買い物を思い出す。




…あれは異常だ。




「稚春の前だけだと思うぞ。俺、久し振りに見た。あんなにはしゃいでるアイツ等。」



これから宜しくな。

と言って私の頭をクシャクシャと撫でてくる朋さん。




「は、い…。」



やっぱり、朋さんと目を合わすといけない。



頷くしかできなくなるから。



「前向いて下さい。事故ります…。」




返事をした後、朋さんから視線を外し、《VENUS》に着くまで窓の外を眺めていた。








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