赤い狼 弐
:逢いたかった人
「疲れたぁー。」
《VENUS》に着いて足が向かった先はこの前ババ抜き大会をした部屋…のソファー。
ボスッと音を発てて倒れ込むと体が少し跳ねる。
フカフカだ。
とっても気持ちぃぃ。
「寝てしまいそー…。」
目を閉じて呟く。
「駄目だろ。風邪引くぞ。」
そう言って着ていた上着を掛けてくれた拓磨。
本当にもうすっかり元通りだ。
さっきの買い物の時の拓磨は幻覚だったんじゃないだろうか。
そんな気がしてきた。
「稚春ー、一緒に寝ようぜ。俺も眠たくなった。」
「うん。ぃぃよ。こっち来る?」
目を擦っている要に手招きをすると、頬を少し赤く染めて擦り寄ってきた。
本当、可愛ぃ。
普通のソファーよりか大きい為、すんなりと要の体がソファーに収まる。
要は
「あったけぇ。」
と目を細めた。
ピランルト・タウンで凄くはしゃいでいたから疲れたんだろう。
ウトウトと今にも眠ってしまいそうな要のオレンジ色の頭をよしよし。と軽く一定のリズムで撫でる。
すると、要は嬉しそうに笑って
「稚春の手は優しいから好きだ…。」
と言って眠ってしまった。