赤い狼 弐
「パイナップルやあらへんっ!これは俺の頭やっ!」
「わぁー、パイナップルが喋ってるじゃねぇか。不思議だなー。」
龍が痛そうに頭をガードしている手を退けてひたすら髪の毛を引っ張る拓磨。
その図はまるで浦島太郎に出てくる、苛められている亀と苛めている子供だ。
可哀想に…。
でも、確かに龍の髪の色はパイナップルに見えなくもない。
…と、そんな事を考えていたら、何だかお腹が空いてきた。
携帯を開いて時間を確認すると、もう午後の4時になる頃だった。
どうりでお腹が空く訳だ。
「ねぇ、お腹空かない?」
隣のソファーに座っている陽に同意を求める。
「確かに…。腹減った。」
陽はそう呟いた後に何処かに行ってしまった。
…何処に行ったんだ。
唖然としながら陽が出ていったドアを見つめる。
その時…
――ブン-ブン-、ブブンッ――
嫌な予感がした。