顧問と私たちと旅行部な時間
 教員用玄関に向かって全速力で走り出す教師を、那歩は慌てて追いかけた。
 その那歩とすれ違うように、背中までの長い黒髪が美しい少女が、1組の張り紙の前に立った。


「あった……」


 『小原綾海(おわらあやみ)』の名を確認した後、少女はもう一つの名前を同じクラスの中に探した。
 その時、「よう!」と男声が背後から聞こえた。

 少女――綾海は振り返らなくてもその声が誰だか分かった。


「あっ、祐樹」


 そこには見慣れた長身の男性が、親しみやすい笑みを浮かべていた。


「またおまえと同じ組になっちまったな」


 それを聞いて、綾海は張り紙を再び見やった。
 探していた名前――岸和田祐樹(きしわだゆうき)があった。
 同じクラスにその名前があることに、綾海は胸が高鳴るのを感じた。

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