顧問と私たちと旅行部な時間
「な~んか、俺って呪われてるんじゃないか?」


 それを聞いて綾海は男――岸和田祐樹を睨みつけた。


「なによ、呪われてるって」


「幼稚園からずっと一緒ってよ」


「そのおかげで、ノートを見せてもらえるのよ。ありがたく思いなさいよ」


「高校になって、やっとおまえから解放されると思ったのによ~」


 そう言いながら、祐樹は生徒玄関に向かいながら歩き始めた。


「ちょっと!」


 綾海は自分に背中を向けて歩き出す祐樹に悪態をつきながらも、笑みを浮かべながら胸の前でガッツポーズを作った。


「待ちなさいよっ」


 祐樹の後を足早に追いかける綾海。
 そんな2人を小柄な少女が横目で眺めた後、2組の張り紙に自分の名前を探した。


「ありました……」


 少女は張り紙に書かれた自分の名前『姫島琴子(ひめじまことこ)』を確認し、賑やかな生徒玄関前を一目して校舎の中に入っていった。
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