顧問と私たちと旅行部な時間
　１年１組のホームルーム時間。


　席に着いた生徒たちを前にして、教壇に立った男性教師は、黒板に自分の名前を書いた。


「とりあえず、１年間おまえたちの面倒を見ることになった、神田耕二（かんだこうじ）だ」


　ぶっきらぼうに言い放つ教師――神田耕二は２８歳の新米教師ではあるが、その勢いのある話し方と、その教師然とした立ち振る舞いが、新米教師のそれを覆い隠していた。


「日本史の教師をしている。このホームルーム以外で顔を合わすことあるだろうが、その時も容赦しないからな」


　教卓に置かれたプリントの束を手に取り、トントンと形を整えながら、続けた。


「とりあえずだ、この後、各クラス単位で順番に施設の案内をするのだが、……筆記用具を用意してくれ」


　耕二の言葉に、生徒たちは机の中から筆箱を取り出した。


「ちょっとしたテストをして貰う」


　まさかの「テスト」という言葉に、生徒たちは慌ただしくなった。


「まぁ、心配するな。テストと言っても正解のある問題じゃない」


　そう言いながら、耕二は前の席の生徒にプリント渡した。

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