春の香り
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「お待たせ。」
背後から、声が聞こえた。未安愛理だった。
「待った?」
「ううん。・・それじゃ、行こうか。」
「・・・うん。」
それから僕等は、遊園地に行ったり、買い物をしたりした。
女の子と二人っきりなんて照れくさかったけど、それなりに楽しくて。
いつの間にか日が沈みかけていた。
「あー、楽しかった。」
未安は腕を伸ばしながらいった。
「・・ごめんね付き合ってもらっちゃって。」
「いいよ、別に。僕も楽しかったし。」
そういうと彼女は照れくさそうに笑った。
「・・・実はね、私、転校するんだ。」
「・・・え?」
「冬休み中にね。親の都合なんだけどさ、全く嫌になっちゃう。」
僕は、突然のことで言葉が出なかった。