春の香り

◇◆◇


「お待たせ。」


背後から、声が聞こえた。未安愛理だった。


「待った?」


「ううん。・・それじゃ、行こうか。」


「・・・うん。」



それから僕等は、遊園地に行ったり、買い物をしたりした。




女の子と二人っきりなんて照れくさかったけど、それなりに楽しくて。

いつの間にか日が沈みかけていた。



「あー、楽しかった。」



未安は腕を伸ばしながらいった。



「・・ごめんね付き合ってもらっちゃって。」


「いいよ、別に。僕も楽しかったし。」


そういうと彼女は照れくさそうに笑った。




「・・・実はね、私、転校するんだ。」



「・・・え?」



「冬休み中にね。親の都合なんだけどさ、全く嫌になっちゃう。」




僕は、突然のことで言葉が出なかった。
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