時を刻む音
ミラ「本当は、すぐに返してあげたいわよ…ただ、勇者様を悲しませたくないから、返したくないのよ…」

その時、俺の前に小さな扉が出て来た。その扉をくぐった…

弘樹「ま、まさかだろ…」

ミラ「いいえ、今、起こっている事よ。」

…止まってる……何もかもが止まっている。人も、風も、水もすべて止まっている。けれど、触れられる。写真じゃない、これが、現実なのか…

ミラ「今、あなた達の世界は、時が止まっているの。その前に一人の少年をレスターヴァに連れてくるの。今回、たまたま選ばれたのが、あなた。今回の勇者様よ。」

弘樹「今…回…。」

ミラ「そう、今回。あなた達の世界は、よく時が止まるの。なんでか、すぐに『時が止まればいいのに』とか言っちゃうからかもしれませんけど、その度に一人の少年を連れてきて、天使を探すの。ただ、それだけ。」
弘樹「それだけ、か。」

ミラ「あなた達の世界を守るには、勇者様しかいないの。だから、お願い。」

弘樹「…わかった。天使を探せばいいんだな…」

ミラ「うん♪」

そうして、俺とミラの天使探しが始まった。
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