時を刻む音
弘樹「わかった。俺やるよ。」
ミラ「勇者様…」

弘樹「名前も知らない天使さん。ごめんなさい。俺達の未来の為に死んで下さい。」


『ザシュッ』


鮮血が溢れる。天使の翼は白から赫に染まる。

始めて天使を殺した。

生々しく手の感触が残る。

俺の手も赫く染まる。

俺は俺自身を責めた。結局は、俺の為に殺した訳だ。いっそのこと俺もここで…

その時、光が天使を包んだ。

赫く染まった翼は、白く戻り、
傷跡は塞がり、たちまち元の状態に戻っていく。

そして、飛んだ。

気づけば、俺の手も赫い血の跡はない。

ミラ「ありがとう。勇者様のおかげで、みんな救われたよ。」

弘樹「なあ、ミラ。」

ミラ「はい?なんですか?勇者様?」

弘樹「お前は、知っていたのか?」

ミラ「…はい。」

弘樹「そうか、なんで、言ってくれなかったのか?」

ミラ「勇者様の哀しみも必要だったから。もし、言ってしまうと、哀しみが無くなってしまうから…。」

弘樹「そっか、わかった。帰ろう。」

ミラ「はい♪」
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