神様、恋をください。
ちょうどよく電話の着信音がなった。
「はい。もしもし。」
お母さんが出た。
私と父の間に流れる沈黙。
「杏樹ちゃん、菖ちゃんからよ。」
『はーい!』
菖!?きっと海の話だよね?
『杏樹でぇす!』
「お久!」
『まだ1日しか経ってないけど?』
「そうだね。でも毎日一緒にいたから。」
『うん。っで、何?』
「あ、決まったよ!!明日!!でいい?」
『yes!華恋は来るの?』
「言わなくてもわかるでしょ?」
『わかんなぁい』
「慶仁君が来ないように努力するって!!」
『へー。できんのかな?』
「さあ?お母さんとはどう?」
『何いきなり話題変えてんの?』
「心配してるの。」
『お母さん、とってもいい人だよ。』
「よかったぁ。」
『でも、父が嫌だ。』
「わかってる。でも悩んでないでしょ?」
『うん。別に謝るとかないし。このままでいいと思ってるから。』
「海に行けば忘れるよ。」
『だね。...ねぇ?』
「ん?」
『慶仁、元気かな?』
「大丈夫でしょ?前の2人じゃないんだから。」
『うん。でも心配。慶仁の顔忘れちゃいそう。』
「馬鹿!!忘れたら、お化けが出るよ。慶仁君の」
『それは勘弁。』
「フフッ。じゃ、明日午前10時。」
『うん。バイバイ!』
受話器を置く。
やっと明日、慶仁に会える。
そう思うだけで笑みがあふれた