神様、恋をください。


「杏樹ちゃん、何ニヤニヤしてるの?」

『さあね。』

「言ったでしょ。私心読めるんだから!うーんと、ね。海が見える!!」

『すごぉい!当たり!』

「いつ行くの?」

『明日。』

「気をつけてね。」

『いいの、行って?』

「どうぞ。明日、私は産婦人科へ行くから、1人ぼっちじゃないし、義一さん仕事だし。」

『お母さんも気をつけてね。』

このご飯はお昼と朝食、2食分。

今は11時30分。

今日は月曜日だから、父は家にはいないはず。

なのに、まだのんきに新聞を読んでいる。

私は小声で、

『お母さん、アイツ、仕事は?』

「なんか、杏樹ちゃんが家にいるときは行かないって...」

『アイツ、サボリじゃん。』

「義一さんの味方する訳じゃないけど、違うよ。」

『じゃ、どうして?』

「杏樹ちゃんと話したいのよ。きっと。私もそうだったから。」


私と話したい?

私は話したくない。

家にもいて欲しくないの。

だから私の前から消えてよ。

お願い____。



ピリリリピリリリ

また電話が鳴った。

「杏樹ちゃーん、慶仁?君から。」

慶仁!!!

なんで電話を??


私は、嬉しくてたまらなかった。
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