神様、恋をください。
携帯、どうしよう。
慶仁の電話番号どこやったっけ?
私は決めていた。
携帯買ってもらったら、一番最初に慶仁に電話すると__
部屋の中を散らかしながら探した結果、
ジャンバーもポケットの中にあった。
早速登録した。
『090-××××-××××』
あと、ついでに、家の電話番号、菖の電話番号も登録。
「入るわよ!」
『どーぞ!』
私は携帯を後ろに隠した。
「はい、お茶。あのさ、お母さん、お父さん探しに行ってくるから。」
『探しにって...あいつ、家出したの?』
「そうじゃないんだけど...前にもこういうことあったから、大丈夫よ。」
『前にもって...なんかあったの?』
「いいの、杏樹ちゃんは心配しなくて。じゃ、留守番よろしくね。」
『う、うん。』
お母さんが部屋から出て、すぐ携帯に手を伸ばす。
でも、さっきほど手が動かなかった。
さっきの、お母さんの言ってた事が気になって仕方なかった。
『前にも、かぁ。』
アイツとお母さんの間に何があったのかは
別にどうでもいい。
でも、私の事で何かあったんじゃないかって思った。
きっと、私が病気になったせいで家への負担はすごいと思う。
『ま、いっか。』
一応、深く考えないことにして、また携帯へ。
『よし、できた。』
携帯のアドレス帳に、慶仁、菖、華恋、お姉ちゃんを登録した。
もう、慶仁に電話したくてたまらなかった。
テレビ電話じゃないけど、鏡で顔をチェックして、
『よしっ!!』
気合を入れて電話した。