神様、恋をください。

きっと私は馬鹿な事を言っている。

慶仁だってそんな事無理だって言うと思う。そう思った。

「いいよ。」

『??』

「お前に会えねぇのもう我慢できねぇし。」

『本気で言ってんの?』

「おう。今日、夜迎えに行く。皆にバレねぇようにしとけよ。」

『うん。』

「じゃあな。」

『あ、ちょっと待って!』

「ん??」

『...ごめんね。』


私は急いで電話を切った。

なんだか恥ずかしくなった。


“今日、夜迎えに行く”


絶対だよ慶仁__私は待ってるから


私はこの時、自分が何をしてるのか、

周りの人と慶仁に迷惑をかけている事なんてわかってなかった。


“駆け落ち”私はまさに今それをやろうとしている。


お母さんを帰らせたのも、それが理由。

お母さんとお父さんと仲直りできたのは良かったけど、

慶仁と一緒にいたい、ずっと___

って前よりも思うようになり、この恋に歯止めが利かなくなってしまった。


手紙を書いた。


 
  お母さんへ

またこんなことしてごめんね。

でも今はどうしても一緒にいたい人がいるの。

無理なことを言ってんのは分かってる。

絶対帰るから、私を探さないで下さい。

         杏樹より



もう少しで外は夕日が沈む。
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