こんな青春も悪くない!
しばらく、沈黙が続いた。
シーンとした空気がさらに、この雰囲気を重くする。
誰も喋らない。
それもそのはず。
目の前で告白し、目の前で振られた人がいるのだから。
この空気を突き破ったのは麻里だった。
「えっと、そこの尚平さんでしたか、が、ご交際をお断りになられたあとなのでどうかと思いますが。」
と、言って僕の方をチラッと見る。
余計涙が込み上げて来た。
「自己紹介をしておきますわね。
私は、天森麻里と言う者ですわ。
そして、このボーイッシュの方が。」
「は~い。
私は、八王寺香菜恵です。
血液型はO型。
スリーサイズは…。
聞きたい?」
「「はい。」」
雅光と雁太がほぼ同時に身を乗り出して答える。
いや、雁太の方が少し早かった。
さすがは雁太。
「でも、内緒。」
とたんにガックリしている二人。
見ているこっちも恥ずかしくなってくる。
まあ、本音を言えば、僕も聞きたかったんだけどね。
「あっ、私は、越田蓮です。
えっと、スリーサイズは、………」
うーん。
聞こえないや。
っと思って雁太を見ると、
「っ!!」
カキカキカキ
パタン
「どうした、尚平。」
何か手帳に書き込んでいた。
あとで見してもらおう。
べっ、別に、雁太と話したい訳じゃないんだからね。
ただ、あの崇高なる手帳の中身を見たいという、健全な男子中学生なだけだからね。
まだコッチ系には足を踏み入れてないんだからね。
「なんか墓穴を掘ってる気がするぞ、尚平。」
こうして、1日が終わった。
なんか、どっと疲れがたまった。
しかし、いいこともあった。
蓮さんのことだ。
確かにあの時は振られたと思った。
でも、今は違う。
勝てばいい。
勝ちさえすれば蓮さんと付き合えるのだ。
僕は、空を見つめながら誓った。
絶対、あの三人組を倒してやると。