こんな青春も悪くない!
41番の部屋はB棟10階だった。
僕と雁太は、B棟10階に向けて、歩き出した。
「後一人のメンバーって、どんなやつかな。
女子だったらうれしいな。」
「ドンマイ。
男子と女子は、別々だよ。」
「ちぇっ。
面白くないな。」
こんな会話を繰り広げている内に、部屋の前にたどり着いた。
「失礼します。」
ドアを開けた。
部屋には、一人の少年2日いた。
その少年は、まだ4月だというのに、Yシャツにトランクス姿だった。
僕と雁太は、以心伝心して、静かにドアを閉めた。
そして、携帯で110と押した。
しかし、繋がらない。
何故なんだ。
こんな緊急事態に。
せっかく変態を捕まえられるのに。
携帯の画面を見ると、圏外と表示されていた。
どうやら学校が、外部との連絡を取らさないために、やったみたいだ。
僕と雁太は、勇気を振り絞って再びドアを開ける。
すると、再びYシャツとトランクス姿の少年が視界に入った。
その少年は、僕らが入って来たのに気がつき、挨拶をしてきた。
「初めまして。
俺の名前は、小中雅光。雅光って呼んでくれ。
こんなにかっこいいやつとルームメイトなんて、お前ら幸せやな。」
確かに、顔はそこそこのイケメンだ。
でも、僕には男趣味はないし…
チラッと雁太を見る。
特に変化なし。
良かった。
雁太も普通の男だった。
雁太が僕の視線に気付き、こう言った。
「俺は、お前の物だ。
浮気なんかしないさ。」
三日間、うなされるだろう。
「僕は、海桐尚平。
こっちは、神岡雁太。
こちらこそよろしく。」
「おう。
よろしく」
雅光の第一印象は、服を脱ぐ趣味のある、ちょっと変わった少年だったが、どうやらフレンドリーでいいやつらしい。
僕は、胸を躍らしていた。
今から、自分たちの挑戦がはじまる。
入学式前の暗い気持ちなんて吹っ飛んだ
明日からの秀高中での生活が、待ちきれなかった。
この夜、僕らは、自分の趣味や学力について語り合った。
残念ながら、雅光には、露出や脱衣の趣味はなかった。
こうして、秀高中学校での生活が始まった。