いつか咲く花【企】
葉桜のトンネルを抜けると可愛い感じのクリーム色の建物が見えてきて、彼は自転車を止めた。
「はい、到着!」
「ありがとう。」
「いえいえー。チャリ置いてくから中入ってて。たぶんじいちゃんいるし。」
*
彼に言われた通り、中に入ると、色とりどりの花に出迎えられた。
けれど、この中にはあの花はないみたいだな…。
「おや?可愛いお嬢さんだね、いらっしゃい。」
「え…。」
急に声がした方を見ると、ネコっ毛のおじいさんが立っていた。
「何かお探しかな?」
「あ、あの…アネモネって花ありますか…?」
「アネモネかい?」
「はい…。」
「ちょっと待っててね。」
そう言うとおじいさんは店の奥へと入って行った。
「会長さん、じいちゃん居た?」
おじいさんが居なくなったのと同時くらいに、自転車を片付けたネコっ毛の彼が店の中に入って来た。
「あ、うん、今奥に……。」
「そっか。じゃ奥にどーぞっ。」
「え?!」