いつか咲く花【企】


「私、何で勉強してるんだろう……?」

気付けば梅雨は終わり、いつの間にか、夏はもうすぐ終わるところだった。

思わず溜息をついて、シャープペンを置く。
窓から見える空は晴れているのに、やっぱり心の中は雨模様だった。


夏休みが明けてから、3年生は自由登校になり、学校に行くことも減った。

時々、学校で茂音君を見かけるとズキンと心の中に音はするものの、彼の事もだんだん忘れ、いつの間にかノートも開かなくなった。

落ちた成績もなんとか落ち着いたけど。
なぜ勉強してるのか、最近解らなくなってきた。


広げたノートに窓から光が当たり、外の天気の良さが伺える。

「………屋上に行こうかな。」

そんな空を見て、フッと学校の屋上を思い出した。

彼に会った、あの屋上。
空を見るのが好きだった私の特等席。


昔。
両親と並んで仰いだのも、綺麗な青い空だった。


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