いつか咲く花【企】
「………ふぅ。」
屋上に上がり、深呼吸。
空は綺麗な青空だった。
鱗みたいな雲が浮かんで、空はすでに、秋の空に変わっていた。
「…もう秋か……。」
そういえば、茂音君がアネモネは秋植えだと話していたのを思い出した。
可愛くて赤い花。
両親に見せればきっと何かが変わる。
そう思って、探していたアネモネ。
だけど。
見せたって変わらないかもしれない。
育てたって花は咲かないかもしれない。
それに私だって、合格は難しいかもしれない……
合格しなければ、家から通えば、両親は別れないかもしれない。
考えれば考えるほど、嫌な気分になる。
あの日から止まない雨が心を曇らせてる。
解っていても…
空は晴れなかった。