債務者ゲーム
「はぁ…」

季節は冬真っ只中。

俺は溜め息をつき、家から10分程の距離のバイト先から歩いて帰宅しているところだ。

音楽プレイヤーをいじり、イヤホンを両耳に差し込み、いつもの様に音楽を聴きながら歩いていた。

そして家まで残り半分くらいの距離のところでいつもの角を曲がった。

そのときだった。

「うっ…!?何だお前ら…」

突然正面から黒いスーツを着た男2人組に襲われ、1人に腕を抑えられ、もう1人は俺の顔に布を押し付けてきた。

「やめろっ！……」

俺がそう言ったとき、段々と意識が朦朧とし、力が出ずに気を失ってしまった。

布には何かの眠らせる薬品が染み込んでいたのだろう。

これだけの借金があるからこうなることには気をつけていたが甘かった。

音楽を聴いていたので注意力が落ちていたのだ。

そして黒スーツの2人組は、俺を停めていた車に乗せ、その場から走り去った。

慣れているのか手際が良く、襲ってから去るまでの時間はわずか20秒だった。
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表紙・目次

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