きみの声がきこえない

「さー、

そろそろ授業始めるぞー。席についてー」


数学の小田原が教卓で声を張った。

一部の女子が冷たい目で先生を見る。


――誰も俺の話を聞かない。

誰も俺を慕わない。

キモい、うざいと陰で色々と言われているのは知っている。

彼女らもまだ子供だ。

自分を非難する大人に反抗してるだけだ。

それは分かっている。


それにしたって、俺は

こんな屈辱をずっと受け続けなきゃならないのか?


俺は何のために教師になったんだっけ……。





「おい!お前らいつまで喋ってんだ!!」


教室がしーんとなった。

その代わりに、クラス全員から冷たい視線を浴びる小田原先生。



――あああ、

そんな目で俺を見ないでくれ……。




痛々しい。

あんなに威張ってるのに、心の中では全然違うなんて。
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