きみの声がきこえない
「ねぇ、ちょっと栗原に伝えてもらっていい?」
「何?」
近くの男子に伝言を頼んだ。
「おい、栗原ー。
英語の津田先生がお前のこと探してたらしいぞ。至急だって」
そう言われると、
大木は、チッと舌を鳴らして栗原から離れた。
栗原はホッとしたように、教室を小走りで出て行った。
思わずふうっと息をつくあたし。
って、何してんの!
何人助けしちゃってんの!
思わず頭を抱えてしまう。
それでもひっきりなしに声は聞こえ続ける。